『ハーモニー/伊藤計劃』読後感想
はじめに
お久しぶりです、Soraです。 読書感想文です。
本の紹介
では、早速本の紹介に移りたいと思います。
今回私が紹介する本は、伊藤計劃さんの、「ハーモニー」です。
※アフィリエイトではありません。
感想
最初に感想話しちゃいます。
久々に本読みました。神保町に行って本を買い、3冊の本読みましたが、その中でもこのハーモニーが正直ぶっちぎりで面白かったです。
面白すぎて、ー映像化されているのでー映画もレンタルして見てしまいました。
なんというか、全てが将来的にあり得そうなんですよね。
あらすじ
ではどんな世界で、どんなことが起きるのか、簡単にあらすじを説明させていただきます。
21世紀後半、つまり今から数十年後に当たりますね。 <大災禍>というアメリカでの暴動を発展とした核戦争が起きて、感染病が蔓延したことなどが原因で、すごい数の人が死んだんです。
この大災禍の後、やっぱ健康・平和じゃなきゃダメだよねって感じになりまして、世界的に健康と平和への意識が高まったんです。 それにより、医療が非常に発達して、ついに全ての病気が消え去った-それこそ事故と老衰以外で死ぬことがなくなった-そういう、高度な福祉更生社会が舞台になります。
誰もが健康で平和に生活を送れる。まさにユートピアですね。
人々は一定の年齢になると、WatchMeっていう健康状態を監視するようなナノマシンを体内に入れるんですね。 WatchMeによって、少しでも健康状態を害そうものなら視界に警告が出たり、病気を早期発見しようものならWatchMeが医療分子を作りだし、自動でそれを治したり…。
ある意味、WatchMeによって、ずっと監視をされているような、そういう社会なんです。 でも、この世界ではそれが当たり前って考え方になっているんですね。
健康状態を害すようなものは全てダメ。 タバコやアルコールは当然、カフェインすら制限されています。「暴力」があるからという理由で、過去のほとんどの映画などの作品も閲覧不能と言う潔癖ぶりです。
みんなが同じような体つきなんですよ。ここはぜひ映像化されているので映画で見てほしい。 何人も人が出てくるのに、全然覚えられないんですよ。何の特徴もないから。 重要なファクターを担うようなキャラですら、映画を見終わった時には姿を思い出せないんです。
ま〜〜〜〜大抵上手くいかないですよね(笑) こういう技術が高度に発達しすぎた世界は。
事件発生
あるとき、死なないことが是とされた世界で大量の人間が、同時に、様々な手法で自殺を遂げます。
この様子がまた、自殺者の目線で描かれているんですけど、錯乱した様子とか一切なく、なんというか、死ぬことが当然であるかのようにごくごく自然に行われるんですね。 この表現が非常に上手い。
なんで自殺するのか、これにはまた理由があるんですけど、これは是非本編を読んで確認してほしいです。
この事件を追うことになるのが、そんな社会に嫌気が差し、幼少期に餓死を失敗しようとした主人公なんです。
これがまた、共に餓死をすることを提案し、そして死ぬことに成功した少女の後を追い続けている。そんな人なんですよ。 ある意味崇拝的な気持ちまで見え隠れするんですね。 こういうのが好きな人、結構多いんじゃないかなと思います。私がそうです(笑)
特に好きな場所を引用
次に、私が読んでいて考えさせられた、そんな文章について引用してご紹介します。
システムがそれなりに成熟していれば、意識的な決断は必要ない。これだけ相互扶助のシステムがあって、これだけ生活を指示してくれるソフトウェアがあって、いろいろなものを外注しているわたしたちに、どんな意志が必要だっていうの。問題はむしろ、意志を求められることの苦痛、健康やコミュニティのために自信を律するという意志の必要性だけが残ってしまったことの苦痛なんだよ
みなさん、どうですか。ChatGPTとか普段使っている方、AIに何かの選択を任せている方は、刺さるところがあったのではないでしょうか。
現在社内でCopilotの導入進めていたりしますが、アレらが提案してくるツールに任せてコードを書いているとき、自分の存在意義について少し考えたりはしませんか。
私は、これには「意志」が関係しているのかな、と読んでいて思いました。 もっともっとお伝えしたいシーンはたくさんあるのですが、時間と、あとどこをとってもネタバレになってしまいそうなので、紹介はこの辺でやめておきます。
まとめ
全体的に優しい世界のはずなのに、なぜか少し不気味な世界観。
ストーリーとしても分かりやすく、また読んでいるこちらが「自分の意識」について、不安を覚えさせるような表現。 伊藤計劃さんが、構成した非常にロジカルで、かつ繊細で、人の心・考え方を揺さぶるような力強さも持った作品となっています。 ハーモニーには、映画版もありますが、とにかくまずは小説で読んでほしいです。
私からの紹介は以上です、ありがとうございました!